コラム④~司法書士のイメージ~
'24.09.24司法書士のイメージ
皆様は「司法書士」と聞いて、どのようなことをイメージされますか?
今回は、世間一般で司法書士がどのようなイメージを持たれているかについて、インターネット検索で出てきた情報等を基にして、私見を述べたいと思います。
資格に関するイメージ=弁護士の次ぐらいの難易度の法律系資格
これは大体合っていると思います。
まず、法律系資格の中でも、弁護士資格は最も取得難易度が高いと言われることが多いです。
平成18年から新司法試験制度がスタートし、合格率も年々上昇しておりますが、受験資格を得るまでに予備試験に合格するか、法科大学院を卒業しなければならないことを鑑みると、合格率の高さだけで資格の取得が簡単になったとは言えません。
これに対して、司法書士資格の取得難易度も、一般的には高い部類であると思います。
ここ数年は合格率5%程度で推移し、合格まで数年間勉強される方が多くいらっしゃることからも、簡単に取得できる資格ではありません。
このように、受験資格などの違いから、二つの資格試験の難易度を正確に比較するのは困難です。
もっとも、業務権限の範囲という観点からみると、弁護士は司法書士の業務権限のすべてをカバーしているため、弁護士資格の方が司法書士資格より取得難易度が低いということにはなりえないと思われます。
弁護士の方が司法書士よりも業務権限が広く、そうであるにも関わらず弁護士資格の方が取得難易度として低いのであれば、誰でも弁護士資格の方を取得すればいいということになるからです。
ただし、弁護士資格の方が取得難易度が高いとしても、実務面では、必ずしも司法書士が弁護士に劣るというわけではありません。
司法書士が主に取り扱う「登記」に関して言えば、弁護士はこれを取り扱う業務権限を持ちながら、実際に深く勉強されていらっしゃる方はそれほど多くなく、お客様から登記のご相談があった場合は、提携の司法書士に相談をするという場合が多いです。
これに対して、司法書士は登記を専門とし、試験科目としても研修内容としても登記に関して深く勉強をし、他の士業よりも深い知見を有しております。
このことから、司法書士は弁護士に劣る仕事しかできないというわけではありません。
また、当然のことながら、業務遂行能力は資格とは無関係であるため、人それぞれまったくその程度は異なると考えられます。
人物像に関するイメージ=真面目・お堅い・冗談とか言わない
これは結局のところ人によりけりですが、私が研修等で出会った方々の印象からすると、表面的な部分はともかくとして、根が真面目な方が多いと思います。
もっとも、これは「仕事や勉強に対して勤勉に取り組む」といった意味合いで、お堅いとか冗談を言わないという意味ではありません。
資格試験や仕事内容の性質からして、それらに勤勉に取り組む方が必然的に多くなるのだと思います。
また、司法書士には、司法書士法上、品位を保持する義務が課せられているため、お客様にあまりフランクな印象を持たれないよう、意図的に真面目なキャラクターに徹している部分もあると思います。
仕事内容に関するイメージ=具体的に何の仕事をしているのかよくわからない
私も資格試験の勉強を始めるまで、具体的にどのようなことを仕事にするのか、よくわかっていませんでした。
また、今でもどのような仕事をするのか聞かれたときに、分かりやすく説明をするのが難しいと感じております。
というのも、メインのお仕事である「登記申請の代理をしている」とお話するのが本当は最もわかりやすいはずなのですが、「登記」そのものが一般的にはイメージしづらいため、これが、ご説明が難しくなっている要因だと思います。
私は、さらにわかりやすく「不動産の名義変更を代行している」などとご説明しておりますが、もちろんこれについて一からちゃんと説明するとなると、多くのお時間を要することとなると思います。
余談ですが、最近では「地面師たち」のヒットもあり、司法書士の一般的な業務内容が少しだけ浸透したと思います(もっとも、司法書士はあのドラマを戦々恐々としながら見ております…)。
収入に関するイメージ=高収入である、又は逆に資格難易度の割に収入が低い
これは人それぞれです。
ですが、一般的な収入源のお話として、司法書士は大きく分けて司法書士法人(事務所)に勤務する方と、独立開業して司法書士業を行う方と、二通りの働き方があるため、どちらの働き方をするかにもよります。
司法書士法人(事務所)に勤務する方を「勤務司法書士」と呼んだりもしますが、勤務司法書士は未経験の場合、初年度年収350万円から450万円くらいの場合が多いです。
その後に経験を積むことによって、500万円~1000万円くらいで推移する方が多いという印象です。
結局のところ、勤務司法書士は一般企業に勤める方と同様、その勤務先の給与体系に基づいて収入を得る為、勤務先によりけりだと思います。
これに対して、独立開業型の司法書士は勤務司法書士よりもさらにピンキリということになります。
個人としての営業能力や、どのようなお仕事をメインとするのか、あるいは報酬に対する考え方(経済的に余裕のない方からはほとんど報酬をもらわないなど)の違いなどからも、収入状況は千差万別です。
したがって、高収入の方ももちろんいらっしゃいますが、そうでない方ももちろんいらっしゃるという結論となります。
司法書士をもっと普及する必要がある
司法書士は弁護士のようにドラマの題材となることも少なく、仕事内容も説明しづらく、その具体的な部分は世間一般にまだまだ知られているとは言い難い状況です。
司法書士ができることをもっと多くの方に正しく知っていただけるよう、その普及活動も、これからは大事なミッションであると考えます。
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