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コラム⑥~執行役員は役員じゃない?~

'24.09.28

執行役員は役員じゃない?

「執行役員」という役職を設けている会社をたまにお見かけします。

執行役員は「役員」とついているため、会社における役員であると思われがちですが、実は執行役員は役員ではありません。


そもそも「役員」とは

「役員」は会社の組織形態などについて定める「会社法」において定義されております。

会社法で定められている役員とは「取締役(代表取締役)」「監査役」「会計参与」の三つのみです。

役員は会社の規模や類型に応じて、会社法において「どの役員を何名以上設置しなければならない」などのルールが定められております。


執行役員が役員を兼ねる場合がある

執行役員は役員ではないと述べましたが、執行役員は役員を兼ねることができますので、役員を兼ねている場合は、執行役員も役員です。

例えば、「取締役執行役員」という役職に就いている方は、取締役という役員でありながら、執行役員という立場も担っている役員であると言えます。


役員以外は従業員

上記の三つの役職以外の、執行役員を含む役職に就いている方は、役員ではなく、従業員です。

従業員については、その役職名や設置人数など、会社の定款や内部規程によって、自由に定めることができます。

例えば、「本部長」という役職は法律で定められた役職ではなく、会社独自の規程の下に設けられている役職名です(ただし、執行役員と同様、取締役である本部長の場合もあります)。


従業員と役員の違い

会社における従業員は、一般的には会社と従業員の間で「雇用契約」を締結しております。

これは、会社の指示監督の下で従業員は仕事を行い、報酬を得るという契約類型です。

こちらはイメージがし易いと思います。

これに対して、会社における役員は、会社と役員の間で「委任契約」を締結しております。

これは、会社の指示監督によらず、役員が自らの注意義務の下で仕事を行うという契約類型です。

仮に成果が出なかった場合でも、役員に求められる注意義務(善管注意義務)を果たしていれば、責任が問われることはありません。

こちらは少しイメージがしにくいですが、例えば、お医者さんは患者さんとの間で委任契約を締結しています。

お医者さんはその注意義務の下で手術や病気の治療を行いますが、成功が義務付けられているわけではなく、注意義務を果たしていれば、責任が問われることはありません。

このように、従業員と役員は、契約の類型からしてその位置づけが異なります。


役員には特別な責任が課せられる

会社法上の役員となった場合、従業員とは異なり、会社法に定める特別な責任を負うことになります。

例えば会社法において、「取締役、会計参与、監査役、~は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められております。

会社の運営を任されている方たちなので、特別な責任規定が設けられております。


役員は登記簿を見ればわかる

役員はその会社の登記簿を見れば確認ができます。

なぜなら、役員は会社の「登記事項」であるため、会社の役員になった場合は、必ず登記されることになるからです。

もっとも、登記は自動的に行われるわけではなく、役員変更の登記を申請する必要があります。

役員が変わったのに役員変更の登記を申請しないと、過料に処せられる可能性がありますので、その際はお早めにお手続きをする推奨いたします。

当事務所でも、もちろん役員変更の登記申請手続きを承っておりますので、その際はご用命ください。



※本記事の正確性については可能な限り注意を払っておりますが、その完全な正確性について保証するものではありません。

本記事の記載内容によって被った損失については、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。